19才夏 インドに行きしときのはなし ①
これはぼくが19歳の時に、初めてインドへ海外一人旅に出かけた時のおはなしです。
自分の若気の至らなさ極まりない行動のおかげで、約6年経った今でも、事細かに全てを思い出せるほどに鮮烈で波乱に満ちた3週間でした。
記録がてら、ブログに書こうと思い始めました。
暇なときに読んでみてください。
2013年の夏
上京して1年が経とうとしていたこの時、飽き性のぼくは東京の喧騒にもすっかり慣れ、新しい刺激を求めていた。
そんな折、古くからの付き合いの友人が都内某所にある旅好きが集まるというバーへ連れて行ってくれた。
そこで出会った人たちはみな、海外に何か国も行った経験があり色々とためになる話を聞かせてくれた。
しかし、ぼくは早く帰りたかった。
ただ単にぼくが極度の人見知りだからだというだけではない。
そう、話についていけないのだ。
ここでの話の核は必然、旅の話になる。
どこそこで辛酸を舐めたとか、ここそこで人々の無償の愛をうけ感銘を受けただのだ。
よくわからん。
でもなんかくやしい。
僕は決めた。
インドに行こう、と
インドに決めた理由は2つ。
1つは、ぼくの大好きなバンドのある楽曲の中にインド西部の砂漠地帯・ジャイサルメールという地名がでてくる、ずっとどんな所なんだろうと気になっていた。なにより、名前の響きがすてき。
2つめは、なんとなくインドは上級者感があるように思えた。
現に前述のバーで会った人の中にもインドに行ったことがある人は、そう多くなかった。
インドにさえ行けば、何か国も行ったことがある人たちと対等に旅の話ができる気がした。根拠はゼロ。
そんな稚拙な理由でインド行きを決めたぼくだが、行動は早かった。
まず航空券を買った。
決行は3か月後。
キャンセル不可のチケットを買った。
これはぼくの持論だが、なにかをしたいという思いがふつふつと、或いはふつっと沸いてきた時、一度はやってみようと考えるもその後いろいろ考慮した後に、行動にうつすかどうかをうだうだ迷ってしまう、ということは往々にしてあると思う。
いろいろ考慮、とは例えば時間、例えばお金だろう。
でも、その沸いて出てきた感情はきっと本当にやりたいことだと思う。
その場しのぎでその感情を押しとどめても、ずーっと尾を引くと思う。
細い細い尾を何メートルもずりずりと引きずりながら生活していてもなんだか楽しくない。
やったほうが絶対にいい。
そんな時一番の方法は、最初に自分を後戻りできない状況にすることだと思う。
自分で自分を追い込む、自分で自分の背中を押すのだ。
後戻りできない状況になれば、体は自然と時間をつくる行動をし、お金を準備する行動をするだろう。
この時ぼくはキャンセル不可のチケットを買った。
当時、上京してアルバイトで慎ましく生計を立てていた青年にとって、6万円は十分に大金だった。
そんな大金は絶対に無駄には出来ない。
こうしてぼくは行動する以外の選択肢を捨てた。
迷っている暇や時間や必要はなくなった。
話が逸れたがその後はパスポートを取った。新宿都庁で。
その後はビザだ。
どうやらインドのビザは大使館ではなくビザセンターで取得しなくてはいけないらしい。
センターの住所を調べた。
所在地は-茗荷谷。
茗荷の谷、東京初心者のぼくは軽く衝撃を受けた。
ストレートに名前がへん。きっと街もへんだ。
この時ぼんやりと「インドに行くには、やはり平坦な道だけじゃないな。」と、だいぶ茗荷谷を特異なものだとイメージしていたのを憶えている。
それから一週間後、茗荷谷に降り立った。
乗りなれない丸の内線に乗って、降りなれない駅で降車し、ぼくは東京ではないどこかの地方都市に来たような感覚になっていた。
しかしひと時歩いてみると、町並みはいたって東京だった。
ビルもお店もJKもサラリーマンも、みんな東京の雰囲気を纏っていて、茗荷谷に対して変なイメージを持ってしまいどこか申し訳なさもあり、どこか拍子抜けな気持ちもした。
ビザは順調に申請できた。
帰る道すがら、すこし探索しようと思いブラついていると公園にたどりついた。
その公園で目にしたものがこれ。
この一つの遊具のようなものが、ぼくの中の茗荷谷をしっかりへんな街に引き戻してくれた。
どういうテーマが込めてあるのだろう。
それからの約1か月半は、ひたすらに情報をあつめた。
地球の歩き方を熟読し、ネットサーフィンにいそしんだ。
時には近所のインド料理屋さんに赴き、インド人の店長からいろいろなアドバイスも受けた。
そしてついに9月某日、フライト当日。
まずは成田空港から上海へ。
上海の空港で約5時間のトランジット待ちがある。
初めての出国手続き。
初めての国際線搭乗。
高ぶる気持ちを狭いシートにぐぐっと抑えながら、上海へと発った。
また次回に!
ちなみに今では茗荷谷は住みたい街ランキング上位の常連らしいですね。
ひそかに親近感湧いてます。